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不要な不動産の相続放棄は不動産だけを単独ではできない!?

2019.03.11

空き家・空き地の増加が年々深刻化する
土地の寄付・法規・売却・活用を再考する!

 空き家増加が問題視されている中、不要な土地の実を放棄できる制度(不動産放棄制度)を政府が検討し「方針」にも盛り込まれました。現在、不要な不動産の相続放棄をしたくても、不動産だけを単独で放棄はできません。民法の規定では「所有者のない不動産は国庫に帰属する」といった規定はあるものの、具体的な手続きを定めたルールもありませんでした。具体的に法制化されると、その制度の利用者はかなりの数に上る事が予想されます。

 不動産は、所有しているだけで固定資産税を支払わなければならないなどの理由から、実家にある土地を親から譲り受けたものの、活用していない場合にうまく処分できないかと考える方は少なくないようです。もちろん、正規の方法で売却できればよいのでしょうが、田舎の土地だと買い手もなかなかつかないでしょう。不動産が”負”動産になる主な要因としては、よく言われる、固定資産税、損害賠償、管理の手間などが考えられます。そのようなことから結局そのままの状態でいる所有者さんが多くなってしまっているのが現状です。

①土地の寄付
 土地の寄付には、自治体、個人、法人に対して考えられます。自治体への寄付の仕方は、概ね、 1)担当窓口で寄付の相談をする 2)自治体の担当者による土地調査 3)審査が通れば必要書類を記入し提出、の手順になります。相談時に対象の土地について、その情報がわかる公図や謄本、写真を用意しておく必要があります。個人への寄付は相手が大丈夫なら誰でもよいのですが、基本的にはあなたがどう活用してよいかわからない土地を欲しがる人はそういないと考えたほうが自然でしょう。しかし、ひとつだけ有効な方法があります。それは、”隣地の所有者に対して寄付すること”です。隣地の所有者であれば、土地を有効活用しやすいですし、もともとあった土地をまとめてひとつの土地とすることもできます。ただし、個人への寄付は贈与税がかかる事はご承知ください。
 個人であれば、隣地の所有者くらいしかすぐに思い浮かぶ寄付先はありませんが、法人であれば事業や保養目的としての利用も考えられるため、欲しがる企業はあるかもしれません。また、個人だと譲渡を受けるための税金がかかりますが、法人であれば費用も経費扱いとすることができます。なお、寄付先の可能性としては、一般企業より公益法人(社団法人、学校、NPO法人など)の方が高いと言えるでしょう。こちらは所有権移転登記費用はかかりますのでご承知ください。
②土地の相続放棄
 すでにご説明したように、基本的に土地を放棄することはできません。ただし、両親が所有している土地などで、相続の際に相続放棄をすれば、土地の所有権を放棄することができます。実家の土地などは相続のタイミングで相続放棄することで所有権を放棄できます。相続放棄すると、土地だけでなく、他の財産もすべて放棄しなくてはなりませんが、相続放棄した後は固定資産税などの支払いをしなくてよくなります。しかし、相続放棄したとしても、その土地の管理義務は継続されます。「相続の放棄をしたものは、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意を持って、その財産の管理を継続しなければならない(民法第940条)」この義務を免れるためには、家庭裁判所に申し立てをして相続破産管理人を選任する必要があります。この辺りの手続きは、相続の手続きと合わせて司法書士さんに任せてしまえば手続きを進めてくれます。
③土地の売却
 不動産市場が変化する中で、やはり改めて売却の再検討も必要です。地域の不動産会社に、売り出し価格や売り方の見直しを相談してみましょう。具体的には、売り出し価格を安くしてみる、もしくは建物が建っているのであれば解体して更地にして売り出してみる、または空き家バンクに登録してみるといった方法があります。将来的には処分することを前提に、賃貸活用・土地活用を考えてみるのもひとつの方法です。田舎の土地建物でも、田舎暮らし、セカンドハウス、外国人民泊など、立地に関係なく活用することがあります。また、市街化調整区域外など、建物を建てられるエリアの場合、高齢者向け住宅、障害者向け住宅などであれば、あまり立地を気にせずに始めることができます。その他、土地が農地であった場合には、市民農民として市民に農地を貸し出したり、農業体験をしたりといった活用法も考えられます。先祖代々の土地を、有効に活用できることが、最良な方法と思います。