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民法改正による賃貸借契約への影響は?

2019.05.09

民法大改正・2020年4月施行
賃貸借契約にかかわる4つのポイント

 現在の民法は、1896年(明治29年)に制定されたものですが、債権関係の規定について、およそ120年ぶりの大改正となる民法改正法が公布され、約200項目の見直しがありますが、いよいよ施行(2020年4月)まで1年をきりました。
 今回はその準備として、賃貸借契約にかかわる4つのポイントを整理したいと思います。

民法改正による賃貸借契約への影響として考えられるポイントは以下の4つです。

①敷金および原状回復のルール
 賃貸借の終了時に家主は敷金から未払い賃料などを差し引いた額を返金しなければならないと明記されます。借主は原状回復義務を負うが、通常の生活で生じた傷や経年劣化については修繕費を負担する義務はないとしています。例えば、冷蔵庫の裏面のクロスがやけるなどの普通に使っていて汚れるようないわゆる通常損耗については、経年劣化で貸主負担です。しかし、冷蔵庫下の水漏れ放置による友香の損傷等は借主負担です。

②連帯保証人の保護に関するルール
  「連帯保証人が個人である場合に「極度額」を書面で合意しないと連帯保証契約は無効になる」ということになっています。現在の賃貸借契約では、ほとんどの契約が極度額を決めていませんので、連帯保証契約は無効になってしまう恐れがあります。民法改正の時期はまだ確定していませんが、今後は賃貸借契約に連帯保証人の限度額を記載する形が増えていくのは間違いありません。ただ、極度額を明示すると、連帯保証を嫌がる方も増えることが予想され、保証会社の利用が増える可能性があります。

③建物の修繕に関するルール
 賃借している物件の修繕について、今までの民法では賃貸人に修繕義務があることが明示されているだけでした。改正後の民法では、賃借人が賃貸人に修繕が必要である旨を通知し、または賃貸人がその旨を知ったにもかかわらず、賃貸人が相当の期間内に必要な修繕をしないときや急迫の事情があるときには修繕をする権利があることが明文化されました。これは借主に有利な変更ですので、逆に貸主側が注意したいへんこうです。

④賃借物の一部滅失、その他の使用有益の不能による賃料の減額に関するルール
 現行では、お部屋が一部使えない場合に賃料減額請求ができるという定めでしたが、改正民法では、「当然減額される」という内容に変更になります。例えば、「地震でエレベーターが壊れてしまい、1週間使えない。しかし、お部屋は15階にあるため、とても階段では上り下りができない」となると、その分の賃料を減額することが当然に認めることになります。また、先ほどのエレベーターの事例のように滅失とまではいかなくとも、お部屋が使えない(使用収益ができない)事例も、減額の対象になります。猛暑でエアコンが壊れたが、エアコン修理業者の手配が混んでいて、修繕するまでに時間がかかった場合なども対象になるといわれており、影響は大きくなることが予想されます。