オーナー向け情報

家族信託を行うための【家族会議】

2020.08.10

家族信託を行うための【家族会議】

超高齢社会を迎えた日本において、「長寿リスク」という言葉があります。 相続発生前に長い老後生活があり、2025年には5人に1人が認知症になるといわれている今日、老親が自分自身で財産を消費や処分することが難しい事態も十分に想定される中で、老親が今後どのように暮らしていくのか、それを誰がどう支えていくのか、そのための財政的基盤はあるのか、などについての備えこそ、緊急の課題と言えます。

つまり、老後生活の先に相続・資産承継が待っているのであって、遺言を作れば、老親も家族も安心できる時代ではありません。 そこには、支え手となる家族を交えての備えが欠かせなくなっており、その備えの第一歩となるプロセスこそが「家族会議」です。

■ 家族会議は必要なのか?  

これから先、自活が難しくなった際の生活・介護方針や将来の資産承継に対する考えなど、高齢の親が抱いている将来への希望や【想い】(ご先祖から脈々と繋いできた一族の誇りや伝統、一代で築き上げた資産や事業、家族への並々ならぬ愛情など) を自分の言葉で伝えることの意味・意義は、他に代えがたい影響力・効果があると考えます。
家族会議を開き老親自らの希望や【想い】を直接伝えることにより、老親の介護方針、資産を承継する家族の取るべき方向性を明確にし、家族全員で共有することができますので、家族間のトラブル・主導権争い、遺産相続をめぐる紛争を未然に防ぐ効果が見込めます。
老親が元気なうちに希望や【想い】を伝えないまま、判断能力を喪失したり死亡したりすると、残された身内同士でお互いの主張や考えの言い合いになり、紛糾することにもなりかねません。
また、遺言書の中で【想い】を綴られる方も多いですが、やはり遺される家族の心への響き方が本人の口から直接言われた言葉とは違いますし、そもそも遺言では生前中の介護方針をめぐる紛争予防には役立ちません。

家族会議のもう一つの意義は、家族全体での現状把握・情報共有にあります。
親がどのくらいの資産を持ち、毎月の年金や賃料収入はどのくらいか等、老親が敢えて家族全員に情報を開示・共有することにより、将来の争族の火種を解消し、正確な現状把握とそれに基づく対策の要否を的確に検討することができます。

■ 家族会議の注意点     

親側・子側の希望や【想い】を共有しただけで終わってしまっては、家族会議の意義が半減してしまいます。その情報共有を踏まえ、次の2つの視点から家族内で話し合い、方向性を一致させていくのが理想です。
一つは、「親の老後生活と相続後の資産承継に関する希望や【想い】を実現するために今から何をすべきか」もう一つは、「このまま何の備えもしなければ、どんな困りごとや問題が起き得るか」です。
この2つの視点から話し合いを行うことが理想的ですが、一般的には、法律や税務に詳しくない家族だけで話し合いの時間を設けても、なかなか前に進まず疑問が解消されない可能性が高いため、早い段階で法律や税務に詳しい方を交えることもお勧めします。
なお、法律や税務に詳しい専門家といっても、弁護士や税理士なら誰でも大丈夫というものではありません。
望ましいのは、相続に関する法律や税務の知識に長けていることよりも、親の【想い】を根底に、大局的・俯瞰的・常識的に全体を見れて、家族の希望の最大公約数を探る立ち位置を持つ専門家が良いと思います。

家族信託という制度を活用するためには、必ず【家族会議】が必要になります。この家族会議を行った結果、家族信託を実施しないということになったとしても、家族で【想い】を共有することができれば、家族信託を検討した意味もあるのではないでしょうか。
一番大切なことは、【想い】を共有し、この先どうしていくのかを家族全員が同じ方向を向いていることです。家族信託の勉強会でもお伝えしておりますので、お気軽にご参加ください。