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火災保険の見直しと活用

2020.10.10

火災保険の見直しと活用

前号では、火災保険の見直しのおすすめと保険の活用について記載しました。今月は保険の見直しのポイントや、新しい商品、活用事例について記載します。

■1:保険の見直し・選び方のポイント  

■マンションの構造・用途を確認
保険料は、地域の事故率、建物構造( M構造、T構造、H構造の3種類)、建物用途で金額が決まります。
燃えにくいM構造になるほど、保険料が安くなりますが、鉄骨造でも耐火建築物の場合はM構造です。たまに、RC造ではないので、T構造で見積もりされているケースがあります。

■加入内容の確認
保険の更新がまもなくの場合は、料率改定の前に更新できないか相談してください。その際、現状のまま更新するのではなく、証券内容を確認し、必要な特約やオプションを選択したり、建物評価額や家財保険の額についても、今一度、見直しをしてみてください。
また、保険金算出方法が「時価」の場合、保証額が年々目減りしてしまいます。「新価」で保険に入り直すか、新価保険特約をセットした方が良いです。最近は新価が一般的になっていますので、長期の保険で見直しをしていないケースに、このリスクが潜んでいます。

■特約・オプションの検討
加入をお薦めしたい特約や、オプション商品が増えました。
臨時費用保険(事故時諸費用特約)
・・・例)漏水によりホテルに仮住まいした
電気的、機械的事故保険
・・・例)エアコン、給湯器、IHコンロなどが電気的・機械的事故で故障した場合
   ※落雷による機器異常・回路のショートなどは通常の火災保険で適用可能です。
施設賠償責任保険
・・・例)建物のタイルが落下し、歩行者にケガをさせてしまった
再発防止費用保険
・・・例)盗難が起きたので防犯カメラを導入した
   ※盗難以外にも、火災・落雷などの再発防止にも使えます。(家庭用スプリンクラー導入など)
   ※盗難の場合、カメラ導入以外は、ガラスの交換・フェンスや目隠しになる植樹など、妥当性が認められれば適用されます。
IoT住宅費⽤保険
・・・例)パソコン、ネットワーク環境が外部からのサイバー被害にあった場合の修理費用
家主費用保険、家賃収入費用保険(家主が支払う費用に対しての保険、家賃収入に対する保険)
・・・例)床上浸水のため、賃貸収入がなくなった
     孤独死、自殺などの事故による、遺品処分・多額な原状回復・賃料下落が起きた等

中でも、臨時費用保険や施設賠償責任保険については、賃貸マンションでのリスクも高いため、加入を検討ください。
賃貸物件へ地震保険を掛けた方が良いのか?という質問を受けることがありますが、日本は地震大国なので、可能であれば加入をおすすめしています。地震保険は、被害の場合に建物そのものを再建する保証ではありません、災害後の生活を回復させるための保証です。
賃貸物件でも、家主住戸併用の場合は、地震で被災した場合に住まいがなくなってしまう可能性があります。また、築浅やローンが何十年も残っている場合も、万一の備えとして加入しておくことが良いと思います。

■2:現場での保険の活用事例  

ある現場で、放火によるボヤが起きたことがあります。被害は火災保険で対応できたのですが、先ほどの再発防止費用保険に加入していると、プラスαでセキュリティ強化のためのライトやセンサーなどの取付も可能だったと思います。
また、別の現場では上階からの漏水に保険を使用したケースがありました。3階からの漏水でしたが、あいにく2階の住人が長期旅行中であり、漏水の事実を知ったのが1階の住戸の方からの連絡でした。水が漏れ続けて1日経過していたため、1階のみならず、2階の室内にも水たまりができており、内装は全部だめになっていました。
原因は、3階の壁内配管が破損したため水漏れだったので、3階の室内に水漏れが出てこなかったことも発見が遅れた要因となりました。

このケースでは、入居中の1階の内装工事、2階の床工事については火災保険を適用することができましたが、入居者の家財弁償代金(約40万円)については、施設賠償保険に加入していなかったため1円も認められませんでした。また、居住中に工事を手配することも業者も居住者も双方ストレスがかかることになるため、臨時費用保険に入っていると、仮住まいの確保もできたのではないかと思います。
築年数が経過している物件は、給水の事故が起こりやすく、当社でも何件もオーナー様と入居者様の示談を行ってきました。短期間の間に工事と、被害にあわれた方の感情面のケアと並行して金銭の話をしなければならないのですが、折り合いがつかないケースでは解決まで約1年かかったこともあります。
(※施設賠償保険を付与する場合は、給排水の事故が認められるか保険会社に確認するようにしてください)

弊社で管理させていただいているお部屋の事例ではありませんが、心臓発作で室内でお亡くなりになった現場に居合わせたこともあります。
身よりの無い方で、他の住人の方から腐乱臭がするとの問い合わせで発見できました。約2週間程度経過していたこともあり、室内に臭いがついて取れなくなったので、全面改装(約250万)を行うことになりました。しかし、身寄りもなく、連帯保証人もいませんでした。賃料保証会社も死亡事故などの特殊ケースでは、原状回復にかかる費用は免責とのことで、全額家主負担となりました。

昨今は連帯保証人が取りづらくなり、賃料保証会社へ委託するケースがほとんどです。契約先の保証会社の保証内容を確認することも大切です。当社では、特殊ケースの場合にも、片付け・原状回復費用・損害期間の家賃保証がセットされた賃料保証会社を選定するようにしています。

保険料は経費化できますので、リスク回避にウエイトを置くオーナー様には、家主費用保険・収入費用保険をお薦めします。

弊社では、特段の事情が無い場合、入居者に斡旋する火災保険は主に不動産協会の保険を使用しています。この協会保険、火災保険+賃貸に特化した保証内容で開発されているため、とても有用です。適用できる一例として、熱割れガラス交換は全額無料、過失がある場合は床の傷1か所~申請できます。室内だけでなく、共用部や日常生活での事故もカバーしており、万が一室内でお亡くなりになった場合の片づけ費用も一部補填されます。前述の上階からの漏水被害の損害品の弁償代も、入居者が当社保険に加入されていたため、保険金がおりて話し合いをスムーズにまとめることができました。

不動産会社が斡旋する保険の内容も、オーナー様の賃貸経営に大きな影響を与えますので、今後 も商品開発と選定に尽力して参ります。