オーナー向け情報

長期修繕計画とメンテナンス計画

長期修繕計画とメンテナンス計画

今月は長期修繕計画と定期的なメンテナンスについて考えてみたいと思います。
皆様は、『長期修繕計画』という文言をお聞きになったことはございますでしょうか?

長期修繕計画を作成する目的は、建物の経年劣化に応じて適切な修繕を適切なタイミングで実施できるように予算を組んでおく為です。
分譲マンションの場合、複数の所有者で1つのマンションを維持管理していくため、長期修繕計画を作成し、予算を組み、毎年の修繕積立金を算出して、各区分所有者の負担金額を決定しています。
ほとんどの分譲マンションで作成が義務付けられている長期修繕計画ですが、実は賃貸物件ではほとんど浸透していないのが現実です。
賃貸マンションで浸透しない原因としては、分譲マンションのように、複数の利害関係を調整する必要がなく、1人の家主の裁量と感覚でマンション経営が行えてしまうことが、最も大きいと思われます。

2017年の国交省住宅局の報告書によると、長期修繕計画を「作成している」家主の割合は 22.8%、「まったく作成していない」家主の割合は 44.4%、「わからない」は 32.8%と、約8割が関心を寄せていないことが分かります。
また、作成しない理由についての回答(複数回答可)は、「必要なときに修繕すれば十分」52.8%、「実施しなくても入居率は変わらない」34.7%、「実施しても家賃水準を維持できるわけではない」15.3%と、長期修繕計画に対してネガティブなコメントが目立ちます。

しかし興味深いのが、長期修繕計画を作成している2割の家主が感じている効果についてのコメントは、「家賃水準を維持できた」42.8%、「高い入居率を確保できた」39.3%、「長期にわたり住宅の性能が維持できた」30.4%と、非常にポジティブな意見が多いことが分かります。
この2割のオーナーの成功体験を感じていただくため、私共はオーナー様に長期修繕計画の作成をご提案しています。

作成には、日本賃貸住宅管理協会が出版している長期修繕計画作成マニュアルに基づいた計算式を用います。このマニュアルでは、過去、賃貸マンションで実施した修繕金額の実績から、鉄部は5年、防水は10年などと、修繕時期と修繕部位、各工事の目安単価が一覧になっているため、マンションの規模が分かれば、30年間でかかる凡その修繕コストの試算が可能となっています。下記は、作成した見本です。

長期修繕計画表にあるマンションは、RC造5階建、住戸15世帯と規模の大きいマンションの場合です。
表のオレンジ色の部分を見ていただくと、外壁修繕費2,163万円、室内修繕・リフォーム4,965万円、定期メンテナンス4,430万円(すべて30年間のコストです)となっていますので、年毎に割り算すると、外壁修繕の積み立ては72.1万/年、室内修繕や15~20年後に発生するリフォームに対しての積み立ては 165.5万/年、定期メンテナンスについては 毎年147.7万円かかるという予算組が可能です。上記と収入(賃料)のバランスを見て、キャッシュフローが悪化しないように、将来設計を行うことが可能です。

また、外壁修繕よりも修繕・リフォーム、メンテナンスの金額が意外に高いことに驚かれるかもしれません。
外壁修繕は、1回の金額が莫大な為、心配されているオーナー様は多いのですが、リフォームも築年数が経過するにつれて、部屋の数だけ発生します。ですので、新築当初から20年後を見据えた貯蓄を行っていく必要性を感じていただけるかと思います。

定期メンテナンスについては、コスト削減ばかりだと入居者不満足を招いてしまう恐れがあるため、建物のキャッシュフローと、コスト、入居者満足のバランスを取った計画をお薦めしております。

下記表は、あるマンションの事例です。
表①のように、現状かかっているメンテナンスコストを試算し、さらに年額・戸あたり金額に割り戻します。すると、1戸あたり管理費7,000円を徴収しているが、実際は3,683円しか使用しておらず、余力があることが分かります。
この場合、表②のように、定期清掃の頻度を上げ、インターネット無料物件としたとしても、戸当たり5,843円となり、管理費7,000円の範囲内に収まります。

上記事例のように、効果的な管理費の使い方を考えることで、入居者満足度の向上だけでなく、建物価値を上げることも可能です。私共は、マンション経費の使い方をオーナー様と一緒に考えられる頼もしいパートナーを目指しています。マンション管理の最適提案を行いますので、ぜひご相談ください。

最後になりますが、弊社ではビルメンテナンス費用の積み立てをオーナー様に代わって行っています。上記の例ですと、毎月5,843円を家賃から相殺し、弊社で積み立て、表の作業内容を実施時期に合わせて手配・実施を行います。オーナー様としては、都度の支払いが不要、時期の管理が不要、経費の標準化ができるというメリットがあります。

弊社としても年間で予定が組みやすくなり、入居者へのアナウンスに余裕が持てるため、室内作業の実施率が上がるだけでなく、近隣管理物件との組み合わせ作業を工夫することで、コストダウンも可能になる、双方WINのシステムです。ビルメンテナンス費用の積み立てについても、この機会にご検討いただければと思います。