オーナー向け情報

エレベーターのメンテナンス

2021.04.10

東京は特に地価が高いため、建物の高層化が進み、分譲マンションではエレベーター普及率は9割以上です。弊社商圏の大田区でもエレベーター付のマンションが増えてきております。

点検義務

エレベーターは建築基準法で、年1回の法定点検が義務付けられています。オーナー様ご自身で行うことは難しいので、一般的に建築時に導入したエレベーターメーカーが点検・届け出を行いますので、義務だと知らない方もいらっしゃるかもしれません。
メンテナンスする会社は、大きくわけてメーカー系(いわゆる大手企業)・独立系<(中小企業)に分かれます。メーカーの代表としては、東芝・三菱・日立・OTIS社など、独立系は数社ありますが、SFCエレベーター、ジャパンエレベーターなどが有名どころです。
これらのメンテナンス会社がエレベーターを毎月1回の頻度(日本昇降機センターの管理指針に基づく)で点検し、業務の一環として、先の年1回の届け出を行います。最近では、多くのエレベーター保守管理会社が遠隔監視システムを採用しており、保守技術院が実際に現地へ出向いて行う点検は2~3ヵ月に1回程度の実施とするケースが増えてきました。

メンテナンス契約

エレベーターのメンテナンスに関する契約形態には、POG契約(パック・オイル・グリスの略)とFM契約(フルメンテナンス)という二つの契約形態があります。どちらの契約形態でも、給油や部品の調整、消耗品の交換などは、契約の範囲に含まれますが、大きな違いは、部品の修理や交換の必要が生じた場合に別料金になるか否かの違いです。
月々のメンテナンス価格も違いがあります。当然FM契約は部品代金も含めてメンテナンス会社が負担するため、POG契約に比べて高くなります。また、先のメーカー系・独立系のどちらに委託するかによっても、費用に違いが出ます。
POG契約の場合:大手系 3万~5万、独立系2万~3万(月額)
FM契約の場合:大手系 4万~6万、独立系3万~5万(月額)

よくある疑問

どの方法で捕手をお願いするのが良いか聞かれることがあります。

●POGとFMのどちらが良いか?
それぞれのメンテナンス費用の差額は約1万円程であり、15年で約180万円の違いになります。実際15年経過したころに基盤やメインローター、センサー、スイッチなどが経年劣化により交換になった場合100万円程かかることがあります。それ以降も、同様に突発的な修理費がかかります。しかし、結果的には長期保有した場合の支出はほぼメンテナンス費用と同額程度になるため、両者の大きな違いは経費を標準化できるかどうかの違いです。
ただ、新築当初でないとFM契約を選択できないことが多く、新築当初から10年程度経過すると、部品の劣化も進んでいるため、POGからFMへの切り替えはできない可能性が高いです。長期保有の賃貸経営の安定化を図るには、FM契約の方がおすすめです。

●大手と独立の違いは?
大手の下請けが独立したものが独立系と呼ばれる保守会社ですので、サービスはほとんど変わりありません。どちらが良い・悪いというものはありませんが、ブランド力と安心感、資本力を重視される方は大手へ、コスト面を重視さる方は独立系という住み分けです。ただ、エレベーターをリニューアルする場合の改修費用については、大手と独立系で大きく金額が変わります。(以前、当社管理物件で見積もりを依頼したところ、大手系1200万に対し、独立系は700万でした。)

●中古で購入したマンションがPOG契約だった場合は?
FMに切替できないかという相談については、大手系は引き受けてくれないケースが多いため、独立系に依頼することになります。築10年程度であれば、今現状の劣化部品をすべて交換したのち、独立系の会社にFM契約を委託することは可能な場合もあります。築年数によっては切替不可の場合も多いため、事案ごとの対応になります。

既存不適格の問題

点検報告書に「既存不適格」と記載されることがありますが、法令が都度改正されているため、新築時の法令のもと作られたエレベーターが現行の法令には合致していませんというお知らせ程度のものです。しかし、【要是正】と記載されている場合は、改修・リニューアルを検討する必要があります。

エレベーターのリニューアル

エレベーターをリニューアルする場合、建物のように一度壊して付け直すことは現実的に難しいため、今のカゴ(乗り場)を活かし、それ以外の付属部品・機械類・内装をやり直すことになります。
RC造の建物寿命が50年として、約25年~30年を節目に検討する必要がありますが、概ね800~1000万規模のお金がかかるため、予算を積み立てておく必要があります。
リニューアルの際、現行の法令耐震基準に基づき、大きく3パターン(98耐震、09耐震、14耐震)の提案を受けることが多いです。

98耐震と09耐震の主な違いは、

地震への耐震補強の違い
扉が開いた状態で動いて挟まれてしまう事故の防止
(ブレーキを2重に、制御盤で安全と停止ができるように)
停電時の閉じ込めを防止(非常バッテリーで最寄り階へ運ぶ)
の3つです。

09耐震と14耐震の主な違いは、

耐震補強がバージョンアップ(確認申請が必要)
の1つくらいです。

98耐震と09耐震のリニューアル費用の差は200万程度なので、予算に合わせて選択するのが良いと思います。ただし、万一のことを考えるなら、09耐震のリニューアルが良いと思います。
14耐震リニューアルの場合、確認申請をとりつけるため、利用できない期間が1ヵ月程かかります。この期間、高層にお住まいのテナントにかなりの負担を強いてしまうため、新築でない限り、リニューアルでは09耐震をおすすめします。

いかがでしたでしょうか。
メンテナンス費用の見直し、リニューアルの検討の場合、当社からも業者さんを紹介できますので、ご用命ください。